【目次】
仕事の「効率」を重視する自分に突き刺さった一冊
「健全なる働き方」は「健全なるデスク」に宿る、これが私の座右の銘の一つ。デスク効率化を生涯の目標の一つに定め、日々心血を注いでいます。(最近「デスク改革」シリーズの更新をサボっていますが……)
『“オフィスのプロ”だけが知っている キングジム 人も組織もうまくまわりだす 超整理術213』を読みましたが、これは私の効率化人生に革命をもたらすとんでもない良書でした。
“オフィスのプロ”だけが知っている キングジム 人も組織もうまくまわりだす 超整理術213
- 作者: キングジムファイリング研究室
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/02/01
- メディア: 単行本
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【本書の目次】
PART01 まずは「頭」と「心」を整える
PART02 理想の机周りにする
PART03 時間を生み出すアイテム術
PART04 デジタルデータの整理術
PART05 共有部を整える
PART06 組織の意識を整える
ただの「片付けのテクニック集」にあらず
この本の素晴らしいところは、ただのテクニック集でなく、「なぜ片付けねばならぬのか」という理屈の説明から入っているところにあります。
「ああしましょう」「こうしましょう」に終始するのではなく、「なぜそうする必要があるのか」「そうすることで、どんなメリットが生まれるのか」といったような部分から丁寧に説明することで何をすべきかを明確化しているため、おのずと読んでいて整理意欲が高まります。
ファイリングと整理術を導入するには、何のために行い、何が得られるのかを明確に見定め、強く意識することが大切です。
はっきりと目的を定めないまま、「どうやら必要みたいだから、とりあえず片付けてみるか」と試しに行っても、つまるところは無駄な作業となってしまいます。
(008「整理術の狙いを明確に見定める」より)
この姿勢は、一教育者としてぜひとも見習いたいところ。昨日も書いたけれども、「なぜ」を自分の実感として理解できるか否かは、作業の効率や達成度に雲泥の差をもたらします。
また、これは単なるデスク周りの整理整頓についての本ではありません。タイトルにもあるように「上手な整理が組織を円滑に回す」という一貫した哲学のもと、モノやヒトを包括した「職場全体の整理」について体系的にまとめられています。これは最早「働き方改革」を核の部分に持つ、組織改革の指南書であると言っても良いでしょう。
どこを読んでも、どこから読んでもためになる
この本は、全213の項目により構成されています。1つの項目につき1~2ページでまとめられており、ページをまたぐことなく完結するため非常に一覧性に優れています。このあたりは流石の一言。
(※kindle版もありますが、上記の理由により断然紙の書籍での閲覧をお勧めしたいところです)
以下、特に感銘を受けた項目について簡潔にご紹介。
014「過去の『しきたり』を変える」
この項では、「これまでとは異なる考え方を取り入れ、心の持ち方を切り替える必要性がある」と前置きした上で、①個人所有をやめる、②紙の発生量を減らす、③保存期間を短くする、と指摘します。
自身の職場を考えてみると、確かにこの三点については前例踏襲とばかりに古き慣習が引きずられている感は否めません。もう時代も令和になったし、そろそろデジタル化を全面的に推し進めていいのではと思うのですが……。
036「自分だけでなく組織全体の効率を考える」
自分一人で完結する個人ファイリングでは、後任への引き継ぎや緊急時の対応に膨大な時間をロスすることになります。当然これを組織全体としてみたら、ひどく効率が悪いのはいうまでもありません。
仕事とは流動的な部分が多いため、整理整頓も組織全体のことを考えて行う必要がある。情報を雑に管理していた人から仕事を引き継いだ時の絶望感よ……。
083「整理術に絶対的な正解はない」
整理術の本なのに、こう言うことをズバッと書いてあるのがまたこの本の信頼度を上げている。
「理由はよくわからないけれど、言われた通りにしてみる」という状態では、狙った効果はなかなか上がらないでしょう。根幹をなす考え方を理解し、身につけ、それなら自分の場合はどうしたらいいかと個別の状況に応じて最適な方法を導き出すことが重要です。
ぐうの音もでない程の正論。おっしゃる通りです。
175「MAILファイリングで仕事依頼・報告文書を管理」
紙媒体による情報の「効果的な共有」の手段として「MAIL BOX」と「MAILホルダー」の活用について紹介されています。
私は教室に生徒一人一人のメールボックスを配置してみましたが、これがなかなかにいい具合に機能しています。生徒の満足度も高いため、是非とも職員室にも導入したいところです。
186「紙ファイリングが確立すると電子化がスムーズ」
電子文書は紙文書と違ってすぐ置き場所が埋まることがないからと、とりあえず何でも保存しがちですが、そのような考え方ではうまく機能しないでしょう。
紙ファイリングが確立すると、その部署、オフィスにおいて何が足りないのかが明確になり、ステップアップがスムーズにいきます。
電子化推進派の急先鋒を自負する身としては耳が痛い指摘です。電子化するにせよ、やはりルールをしっかりと決めねば無駄な混乱を招くだけで終わってしまう最悪の事態を引き起こしかねない。ただただ「電子化」を叫び、それで満足してしまわぬように気をつけねばなりません。
196「文書管理の勉強会に全員で参加する」
「自分には関係ない」
そのようなことを言って勉強会を避ける人が出てきますが、そのまま放置すると後々大きな悪影響を及ぼします。欠席した人が原因で文書管理に綻びが生じ、システムが崩壊しかねません。
これまたおっしゃる通り。やはり全体で足並みを揃えることは不可欠です。
「『超』整理術」の名に偽りなしの傑作
こんな感じで、一つ一つの項目がすっきりと分かりやすくまとめられているため、1分程度のちょっとした空き時間があれば一項目読むことができます。
先程は「心構え」の部分について書かれた項目について特化して紹介しましたが、もちろん「色分けをして視認性を高める」「モノの住所を決める」「電子ファイルはファイル名に統一のルールを設ける」といったように、具体的、かつ基本的な整理整頓テクニックについても十分に網羅されています。
これほどの本が世に出たことに、ただただ嬉しさを感じるところ。是非とも多くの人に手に取っていただきたい一冊です。
新年度が始まって一か月。そろそろデスクもごちゃごちゃしてきた人も多いのでは?
是非とも組織全体で整理整頓を行い、効率よく仕事のできる職場を目指しましょう。