ネコとコーラと国語と私

私立高校勤務の国語教師が感じた教育に関するあれこれ。あとたまにネコとかコーラとか。ブログ毎日更新中。

【授業実践】高校1年生現代文、1学期の授業振り返り(リーディングワークショップ・ビブリオバトル)

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現在中間考査の真っ最中。

授業もないため、日頃貯めがちな雑務をサクサクこなそうと意気込んで出勤したはいいものの、気付けば大して仕事が片付かぬまま退勤厳守時刻を迎えているという相変わらずの時の加速っぷり。謎。

 

さて、今年度もいよいよ本格的に授業も軌道に乗り始めたことだし、ここらで一つ思考の整理や備忘録も兼ねて、昨年度の一学期に実施した授業について少し整理しておきます。ほぼ一年越しの振り返りということで結構なブランクがありますが、だからこそ当時よりは客観的に見つめ直せるように感じます。この時の反省を糧に、今年度はもう少しレベルアップをしたいところです。

 

【目次】

 

 

・リーディング・ワークショップ

 

勤務校の図書室は物理的にアクセスしづらいところにあるため(これからのことを考えると、一刻も早い引越しが望まれます)、本当に本好きな生徒以外は絶対に足を踏み入れることのない隠れ場的なスポットになっている。

普通科の生徒は教室のある建物を一階まで降りた後、数十メートル先にある別の建物の四階まで登らなければ図書室には辿りつけない。わずか十分の休み時間では移動だけで時間が過ぎてしまいます。そんなこんなで、折角のリソースを有効活用できないのはもったいないにもほどがあるというもの。

 

そこで、「行かぬなら 行かせてやろう 生徒たち」の精神で、半ば無理やり図書室での授業を断行。文字通り右も左も分からぬ新入生ということで、図書室利用のオリエンテーションも兼ねての図書室探訪。そして、どうせ図書室に行くならと、かねがね興味を持っていた「リーディング・ワークショップ」を初実践。

 

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全5時間で計画を立て、大福帳のカスタマイズやミニレッスンのネタ収集も行い、それなりに時間をかけて準備をしました。

私自身は勿論のこと、生徒たちも初めてのワークショップだったということもあり、そこまで高いレベルを求めることはせずに様子見を心掛けました。ミニレッスンも、読書に向かう心構えを高めるような、「本との向き合い方」といったようなレベルのものを多めに準備をすることに。

 


結果としては、惨敗。
自分の見通しの甘さと、力の無さを痛感させられ、初っ端から大怪我を負う結果に。
カンファランスのタイミングが本当に難しい、これは次回以降の大きな課題になりました。この時の反省を生かしながら、今年度はもっと事前にしっかりと勉強をしてリベンジを仕掛けたいところです。

 


・ビブリオバトル

 

せっかく図書室で読書に親しんでいたため、その経験を活かした有機的な授業を画策。点と点を線で結ぶような授業にしたいという気持ちが強くあったため、読書繋がりとしてビブリオバトルを実施しました。

 

三つの狙い

 

これは大きく三つの狙いがありました。

 

一つ目は、入学間もない時期でお互いの趣味嗜好を把握できていない高校1年生に、もっと互いの「好き」を知ってもらう契機としよう、という狙い。

 

二つ目が、まだお互いによそよそしい時期に実施することで、より明確な「他者意識」や緊張感を持って活動に真剣に臨むことができるようになるため、結果としてそこから多くのことを学ばせたい、という狙い。

これが2学期以降になると、互いに気心が知れてくるために、ともすると「馴れ合い」に近い活動になり、真の意味で「相手に伝えたい」という感覚を養いにくくなるのでは、ということを危惧してのことでした。

 

最後の三つ目は、夏休み前に「本」に関する多くの刺激を受けさせることで、なるべく多くの本を手に取ってもらいたい、という狙い。生徒にとっては長期休み程本をたくさん読める時期はありません。となれば、その貴重な機会を逃すことなく多くの本に触れてみることは生徒自身の成長に不可欠な活動だと感じます。

 

 

お手軽にしては結構な手応えが

 

ビブリオバトルは、前もって意図していたよりも遙かに多くの生徒たちの主体的な学びを促すことができたのではないかと思います。非常に活発、かつ真剣さをもって取り組んでくれ、活動中も程よく笑い声も漏れ聞こえるなど、楽しみながら力を伸ばすという理想的な展開を生徒自身が作り上げてくれました。

 

折角の「バトル」なので、よりゲーム感を出すために他のクラスも巻き込んで、各クラスの代表者選出戦からの学年ナンバーワン決定戦にまで繋げることに。優勝者には、お手製の「宿題免除券」を発行するという、やや姑息な手段で生徒のモチベーションを高めながらも、相互の評価や自己の振り返りの時間もしっかりと確保しながら行き当たりばったりにならないよう慎重にデザインしていきました。やはり各クラスの予選を勝ち抜いてきただけはあり、決勝戦はその名に恥じぬレベルの発表が続出。

 

 

時期をほぼ同じくして県が主催するビブリオバトル大会があったのですが、それに学校の募集定員上限3名が参加をしてくれ、また、大会運営ボランティアにも参加する生徒が現れるなど、まずまずの結果が表れました。


敷居も低いので、今年度も夏の公式大会前にやってみようかなぁと思っています。

 

 

まだまだ授業の完成には程遠い

 

ということで、今回は「読書」に特化した授業内容の振り返りをしてみました。

良かった点よりもむしろ、反省点の方が多いため、今年度はその経験を生かしながらより高いところを目指していきたいところです。