ネコとコーラと国語と私

私立高校勤務の国語教師が感じた教育に関するあれこれ。あとたまにネコとかコーラとか。ブログ毎日更新中。

【授業実践】「山月記」に朗読の活動を取り入れることで、人物の心情をより深く理解させてみようという試み

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今日も今日とて「山月記」です。

定番過ぎて、授業にも何か行き詰まり感があったため、思い切って大きく授業のやり方を変えてみることに。

 

【目次】

 

 

小説から心情を読み取る

 

小説を授業で扱う際にどうしても外すことのできない作業。それが「心情の読み取り」。

そもそも「小説」というスタイルが、登場人物の機微を綿密に練り上げ、時には乱暴に積み込み、化学反応を起こすべく相互に巻き込んでいくことで人間の深遠を覗き込もうとする試みであるわけなのだから、作品読解の過程において、それらの心情描写を紐解いていこうとするのは自然の流れなわけです。

 

ただ、授業における心情読解が「文章から読み取ったことを言語で表現する」という活動一辺倒になっているように感じていたので、今回はそこに何か変化球を投げ込みたいという思いからこれまでとは少し目先を変えた取り組みを目指してみました。

 

 

読み取った内容を再びアウトプットするという作業

 

今回「山月記」の単元にて目論んでいるのは、「作品を読解し、自己の内部へ取り込んだものを様々な形で再び外部へ発信する」という活動群。各活動において、やっていることは表面上ではバラバラだけれども、その根っこの部分では目的が一貫している、という状態を目指しています。

 

前回の導入部で行ったのは、文字情報を一旦取り込んだ上で、それを「似顔絵」という視覚的な形で表現する、いわゆる「文字情報→画像」への変換作業。

そこで志したのは「描写を正確に読み取り、解釈した上で、それをなるべく忠実に再現する手法を探る」ということ。人物像を目に見える形として造形するという活動を取り込むことで、小説における人物造形の妙をより強く意識させたいという思いもありました。

 

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そして今回は「文字情報→音声」への変換作業。

ここでも「描写を正確に読み取り、解釈した上で、それをなるべく忠実に再現する手法を探る」というテーマは同じ。「心情をどのように解釈したのかが他者に伝わるように読む」という縛りを設けることで、小説における登場人物の心情の微妙な揺れ動きをより強く意識させたいという思いがあります。

 

 

授業の実際

 

やることはいたってシンプル。

 

①対象となる場面を各自で黙読させ、登場人物の心情が強く表れている発言や行動をチェックさせる。

②4~6人程のグループにて各自で考えたことを擦り合わせ、どのように読めば人物の心情を表現することができるかを話し合わせる。

③互いに持ち寄ったアイデアに基づいて、朗読発表会に向けて相互に練習をさせる。

④実際に朗読を行い、互いの良かったところを評価し合う。

⑤クラス全体で各描写における人物の心情について確認をする。

 

今回扱ったのは、袁傪が虎になった李徴と思いがけず出会う場面。ほんの数行の場面の中に、これでもかと言うほど登場人物の心の揺れ動きがあるため、朗読にも工夫のし甲斐があるというものです。

 

 生徒にとっては高校生活では無縁だった「朗読」が組み込まれることで、結構な刺激になったようでした。

 

 

反省点

 

やはり高校二年生ともなると、「照れ」が出てくる生徒が多く、朗読の際にその感情が思い切った表現を邪魔をしているようにも感じました。

そもそも「朗読」という活動自体にこれまでの学習であまり慣れ親しんでこなかったような感じも見て取れ、棒読み状態になっている生徒もちらほらと見られました。

 

確かに、私自身の高校生活を振り返ってみても高校国語で教科書を「朗読」した経験って皆無なんですよね。別にしてはいけないわけでもないし、登場人物の心情やその場面の臨場感を肌で感じ取るには結構うってつけの活動だと思うのですが……。

 

 

少し状況は異なりますが、各種探究活動におけるプレゼンなどの他者への発信の様子を見ていたり、推薦入試の面接練習をしたりしていると、感情の効果的な表出ができずに棒読みになっている生徒がいかに多いことか、ということを実感します。例え演技だって構わないわけですから、自分の意図した感情が相手に伝わるような、そんな効果的な話し方を身につけて欲しい。

今回のこのような授業に踏み切ったのには、そんな思いもあったりします。

 

 

色々と理論武装しながら授業を実施してはいるものの、正直効果の程が掴めずにこのままでいいのかどうか戸惑いを感じることもしばしば。

生徒からのフィードバックを大事にしながら、もう少し練り上げていってみます。