生徒は相変わらず春休み中。
生徒が登校し始めるとドタバタするので、今のうちにできることをやっておきたいところです。
【目次】
家庭学習の記録をどうやってとらせようか
さて、そんなわけで本日は、生徒の「家庭学習の記録」を、どのようにやらせるかを考えてあれこれと準備を進めました。進学コースである以上は、ある程度こちらでも生徒の家庭学習時間を把握しておきたいところであるし、何より生徒自身が客観的に自己の学習について振り返れるようでなければ、効率的な学力向上は望むべくもありません。
候補がいくつかあるので、少しまとめてみようと思います。
【案①】ノートなどに自由に書かせる
記録を取る意義をしっかりと伝えた後は、「各自で最も良いと思うようにしなさい」というスタンス。
無印良品にはちょうど1日1ページの記入スペースの設けられた文庫本サイズの手帳が売っており、これは結構うってつけなのではないかと目を付けています。
メリット
・十分な記入スペースが確保されることで、生徒たちが個性を発揮しながら思う存分書き記すことができるため、コミュニケーションを図りやすい。
→綺麗な絵を添えてくれたり、図を書いて分かりやすくまとめようとしているノートを見ると嬉しくなってしまう。コメントの返信にも力が入るというものだ。
デメリット
・自由度が高すぎるがゆえに何を書いてよいかが分からなくなり、凡庸なコメントしか書かない生徒が出現する
→主な事例に「疲れた」「頑張った」などがある。中には「雨が降った」「文化祭があった」などの、「うん、知ってる」と突っ込みたくなるような、ただの事実を書いてくる生徒もいたりするから驚きである。こんなことでは振り返りも何もあったもんじゃない。
・物によっては結構な値段である
→物品購入の資金源は各家庭から徴収したクラス費でまかなっているため、あまり高い買い物は気が引けてしまう。
【案②】クラウドサービスを利用し、web上で記入させる
勤務校はベネッセの提供する「classi」というサービスを全校で導入しています。その機能の一つに「学習記録」があり、これを使う手もあります。
メリット
・ネットに繋がった端末さえあれば、いつでも、どこでも記録を取ることができる
→個人的にはこれが最大の利点。パソコンでも、タブレットでも、スマホでも、どこからでも記録が可能であり、生徒の負担はかなり軽減できるはず。
・教師が生徒のコメントに返事を書くのが楽
→紙媒体だと、生徒が下校するまでにコメントをつけた上で返却をしなければならないため、日中にその作業のための拘束時間が発生する。ただでさえ手書きは時間がかかるため、結構手間である。それを考えれば、キーボードで素早くコメントを打つことのできる(なんなら、全員に同じコメントをコピペすることだってできてしまう)というのは魅力的だ。
・学習時間の統計が楽にできる
classiであれば、期間を自由に設定した上で、教科別の学習時間の統計が一瞬でできる。面談時には、勉強時間を円グラフで表示させ、学習の偏りを保護者も交えて分かりやすく確認することだってできる。また、CSV形式にてクラス全員分を一括で書き出せるため、クラスの学習量の把握や進学指導にもかなり役立つ。
デメリット
・あまりに手軽過ぎて、生徒自身の「記録を取った」という実感が湧きにくい
→画面をタップするだけで記録を作成できる手軽さは十分なメリットなのだが、一方で記録の「実感」が持ちづらいように感じる。そして、これは結構致命的な欠陥である。
・一覧性に乏しく、お目当ての情報へのアクセスや比較照合に時間がかかる
→検索ができるのでは? と思われるかもしれないが、そういうことではない。紙の束をパラパラとめくったりしながら、感覚的に自分の記録をザッピングする作業がwebサービスだとなかなかうまくいかない。過去と現在の比較が重要である学習記録においては、これも結構致命的である。
これは言葉では少し説明が難しい。電子書籍と紙の書籍の対照にも当てはまる部分である。
【案③】こちらで指定したフォーマットを印刷し、そこに記入させる
結局、今年度はこのやり方でいくことにしました。
毎回紙で印刷して配布し、生徒はその都度ファイリングしていく、というスタイルです。これは上記のメリットとデメリットのいいとこ取りが可能。(裏を返せば、悪いとこ取りでもあるわけですが……)
エクセルの作成画面を一部抜粋。こんな感じで作成中。
実は、これまでにもあらゆるフォーマットを試行錯誤しながら作成して運用してきたのですが、長年の経験の末、ここにきてようやく大まかな書式は落ち着いてきたかなと言う感じです。これからもマイナーチェンジは繰り返されるのでしょうが、しばらくはこんな感じで行ってみようと思います。
こだわった点は、
A、一週間分を一枚に収めることで一覧性を高める。
B、「振り返り」に重きを置き、生徒自身で自己反省ができるようにする。
C、一日一日を積み上げていくイメージを持てるようにする。
D、「できなかった部分の反省」のみならず、「今日のここは頑張った」を一つでも発見させることで自信を付けさせるようにする。
といったところでしょうか。
これ以外にもあれもこれもと欲張りたいところですが、紙面の都合上カットしたものも多くあります。限られたスペースをどうデザインするかがなかなかに難しい。
氏名の欄の上にある「(あなたの座席は)廊下から__列目」という項目は、我ながら結構な発明だと思います。返却の手間が省けて相当楽になりました。おすすめ。
【案④】特に何もしない
身も蓋も無い感じですが、個人的なベストはこれです。
強制されるまでも無く、自分自身でしっかりと振り返りながら学習することができるようになれば、もはや我々が何かを強いる必要は無くなるわけですから。
今回は【案③】を採用するわけですが、それでも生徒には「こんなことを強制されている時点でまだまだ甘いぞ」と常に語りながら、「自分自身で振り返る力」を鍛えていこうと思います。