いよいよ勤務校において「学校改革プロジェクト(仮)」が動き出しました。
恐れ多くも、私もその一員に名を連ねており身が引き締まる思いです。
どう進むかまだまだ手探りの状態なのですが、まずは私自身の認識をいくつかまとめておきたいところ。
改革に必要な要素とは?
「学校改革」と聞けば、「大学進学・国家資格取得率の向上」だとか、「地域を巻き込んだ学校発のプロジェクトの発足」だとか、「ICT機器の導入およびICT教育の推進」だとか、ともかくなんだかそういう「外側へ向けられた学校のステータス・ブランド力の向上」みたいな華やかな部分が取りざたされているように感じます。
もちろん、それらを否定する気は毛頭ありません。むしろ、そうした部分の変革は絶対に必要な一手だと強く共感できます。
ただ、制度やカリキュラムをいくら整備し、アップデートしたところで、実際にそれを実行に移すのは人の力です。その認識も、絶対に併せ持っていなければなりません。
実行のできない計画など、まさに絵に描いた餅。一部のスーパースターの力はもちろん、即戦力として大きな力たりうるのでしょうが、悲しいかな、そんなマンパワーに頼ったやり方では、その人がいなくなってしまった途端に一気にトーンダウンしてしまいかねません。
この辺りは、昨日書いた「後継者の育成」にも通ずる部分がありますね。
どんなトンネルを掘ろうか
改革とは、例えるならばトンネル工事と言えるでしょう。
頑張り屋さんのモグラがいくらあちこちに単発的な穴を開けたところで、それはただその場・その当事者のみが通るだけの道で終わってしまい、後からは誰も続けません。
(と、ここまで書いてふと思い返すと、私も二十代の頃は、自分ばかりが突き進んでいくような仕事ばかりをしていたことに思い当たりました。いかんな、これは決して他人事ではない。)
組織全体の生存を考えた時、求められるのは多くの人たちがその後から続くことのできるような大きなトンネルを掘ることです。そして、これは1人の力では到底無理な作業です。多くの人間が力を合わせて、初めて成し遂げられるものだと言えるでしょう。
そのためには、指揮を取る者の責任として、まず作業にあたるメンバー全員が同じ目的に向かうように動機付けをしてあげなければなりません。また、入念な下調べとそれに基づく明確な到達点の設定、そこに辿り着くための完璧な計画を提示すること、などが挙げられます。
安心して進むことのできる保証がなければ、誰もそんな危険な工事には賛同してくれませんから。
なるべく多くの人間のコンセンサス(合意)を得ることが、長期的な成功を考えた上では不可欠であり、そのためには決して全てを押し付けるようなやり方は得策ではありません。
「改革にはトップダウンの要素と、ボトムアップの要素、どちらも必要」と言われる所以はここにあるわけです。
成功事例に学ぶ
最近読んだ『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?』(日野田直彦)や、『学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革』(工藤勇一)といった、「学校改革」をテーマとした書籍でも、同じような事が改革の理念として語られており、実際にそれを実現した結果としての成功事例が描かれます。
なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか! ?
- 作者: 日野田直彦
- 出版社/メーカー: IBCパブリッシング
- 発売日: 2018/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―
- 作者: 工藤勇一
- 出版社/メーカー: 時事通信社
- 発売日: 2018/12/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
いやぁ、この二冊は本当に参考になることばかり書いてありました。
特に、『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?』に関しては、同じ高校での改革ということや、著者である日野田校長先生の理念が私の理想と非常に近しいところにあることもあり、とてもワクワクしながら読む事ができました。
ページをめくる手が止まらずに一気に読み進めてしまう。小説でもここまでワクワクしたことはなかったかもしれません。
※ワクワクといえば、今読み進めている『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(田中修治)にも、かなり惹きつけられています。ドラマ化したら面白そうだ。
破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 (NewsPicks Book)
- 作者: 田中修治
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2018/09/04
- メディア: Kindle版
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結論、どっちも大事(身も蓋もあったもんじゃない)
大事なのは、「瞬間最大風速を目指すような、その場しのぎの改革」なのか。
それとも「緩やかではあるけれども決して絶えることなく、強く、確実に進むような改革」なのか。
もちろん、どちらの要素も必要なわけですが、私個人としては、後者寄りの改革がいいのかなぁと感じています。
組織全体が一体となって突き進む、そんな改革であってほしいです。
先頭で引っ張る人がいるならば、後ろから押し上げる人もまた、同じように必要なのだと思います。
そんなこんなで最近では『変わる学校、変わらない学校―学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道』(妹尾昌俊)という本にも手を出してみました。
これがまた「あー、あるある。これってうちの学校の事じゃん」と共感しまくりの学校現場の問題点が数多く挙げられており、非常に参考になりました。学校を変えるって、大変な事なんですね。
変わる学校、変わらない学校―学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道
- 作者: 妹尾昌俊
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2015/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今回挙げた本に関しては、またいずれ個別に感想を書きたいと思います。