ネコとコーラと国語と私

私立高校勤務の国語教師が感じた教育に関するあれこれ。あとたまにネコとかコーラとか。ブログ毎日更新中。

肯定的・否定的なフィードバックが、他人に与える影響の大きさ

 

「病も気から」という言葉があるけれど、人間のフィジカルとメンタルは面白いほどに連動している。そして、人の心というやつは実に他人に影響を受けやすいものであることもまた事実である。

 

自分では全然大したことは無いと思っていても、周囲の人達が「ヤバいヤバい」と騒ぎ立てれば当の本人も途端に不安を感じてしまい、結果、重篤化してしまうことも珍しくはない。

他人に太鼓判を押されることで心が前向きになり、結果体にも良い影響が出てくる「プラシーボ効果」というものがあるが、これもやはり思い込みの力がいかに大きいのかを物語っている。もちろん、逆もまた然りである。癌の診断を本人になかなかしないのもそうした配慮によるものだろうし、集団過呼吸というやつも実際に定期的に発生している。

「周囲の評価」は面白いほどにお互いに影響を及ぼし合っているわけで、そういうことを考えるとやはり「肯定的なフィードバック」というものはかなり大切なものになってくるのだろう。

心理的なタガを上手く外してやれば、実力以上の結果を出すことも難しくはない。

 

ただ、逆に言えばそれは「今の本当の力」を客観的に認識することを妨げることにも繋がりかねない。その場その時を乗り越える「ドーピング」的な効果は期待できても、やはり最後にものを言うのは、地道な鍛錬によって積み上げてきた地力しかないはずだ。本当に困った局面で力を振り絞るためには、「自分自身」による「自分はこれだけやってきたのだから大丈夫」という自信が必要になる。他人の方からあまり安易に「大丈夫」と言い過ぎると、そこには根拠の無い自信が生まれてしまいかねない。

 

 

教師というのは、生徒にとってそれなりの権威を持った存在であり、その発言の重みも相応にある立場にいる。

つい何気なく「そんなことも出来ないなんて仕方ない奴だ」と否定的なことを言ったり、「絶対に大丈夫だ」と励ましたりしてしまうけれど、その一言が生徒に与える影響は確実にあるはずだ。気をつけていかねばならない。