ネコとコーラと国語と私

私立高校勤務の国語教師が感じた教育に関するあれこれ。あとたまにネコとかコーラとか。ブログ毎日更新中。

「皆勤賞」という名のムチ

体育祭の練習が本格的に始まると、体調を崩す生徒がチラホラと出てくる。なんせ暑い、夏休みにエアコンの効いた部屋でのんびりしていた生徒には随分と酷な環境だ。

 

朝の欠席連絡を受けながら、かつて自分が高校生の時には「皆勤を逃すから体調が悪くともなるべく来い」みたいな指導をされていたことを思い出した。

「皆勤」に与えられる評価は高く、基本的に学校を休むことは許されない、そういう時代だった。

 

しかし、体調が悪い生徒に「それでも来い」はさすがに何かがおかしい。その根拠が「皆勤賞のため」であれば尚更だ。制度の独り歩き、あるいは暴走が起こっている。

 むしろ「体調が悪くならないように自己コントロールをしっかりとしなさい」の方が大切だろう。まずは十分な睡眠を確保すること。それができないのなら、せめて十分な食事を摂ること。そのどちらもが欠けると大抵体に不調をきたす。

「問題にどう対処するか」も、必要な観点だけれども、「どうすれば問題を未然に防ぐことができるのか」の観点も忘れてはならない。 どんな病気も直そうとする医療技術の進歩は大切だが、同じように前もって病気の発生そのものを防ごうとする予防医学も大切である。

「皆勤」は素晴らしい目標だと思うけれども、それはあくまでも努力目標であり、何がなんでも達成すべきかと言われたらそこは少し疑問が残る。

 

大人だって「働き方改革」で無理せず休めと言われる時代である。日本人は働きすぎである。教師という仕事もまた然り、本当に身を粉にする勢いで命を削りながら働く人もいる。

ワークライフバランスの乱れの背景には、そうした「何がなんでも仕事をせねば」という強すぎる使命感があるように思う。「いかに休むか」を知らない人は結構いる。

 

もちろん、ズル休みはいけない。あまり手綱を緩めすぎると、自己都合ばかりで動く精神を増長しかねない。ただ、「休まねばならない時には休む」ことを教えてあげるのも必要なのだろう。そのあたりのバランスが難しいところだ。